御世話になった皆様へ

　最初は気軽な気持ちで受けた無料検診からでした。突然の乳癌宣言を受けてからは、再発の不安に怯えつつも、比較的楽観的に過ごしてまいりました。

　しかし、二〇〇五年の四月に肝臓への転移が発覚してからというもの、薫は必死で治療に取り組みました。辛い治療でしたが、主治医やスタッフの方のおかげもあり、一時期は病気も落ち着くか思え、私たちは手をとって喜びあいました。

　絶望の淵にも喜びが確かにあり、今まで感じたどんなことよりも、強く私たち夫婦に希望の灯りを照らしてくれました。

「どうか、このまま何事もなく時間が過ぎてほしい」と願いましたが、それは許されませんでした。二〇〇六年八月四日に容態が悪化し、緊急入院をしたまま、八月七日に、薫は静かに息を引き取りました。

　この間、多くの方々から励ましのお言葉を頂戴し、支えられながら五年と九ヶ月に及ぶ私達の闘病生活は終わりました。

　薫と共に歩めた充実した貴重な日々と、皆様からいただいたご厚情に改めて感謝し謹んでご挨拶申し上げます。

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